生垣の管理 ヒイラギモクセイとヘリグロテントウノミハムシ
(虫の嫌いな方すいません。幼虫、成虫の写真が出てきます)
ヒイラギモクセイ(モクセイ科モクセイ属)はトゲのある革質の緑の葉で、ギンモクセイとヒイラギの雑種といわれ、10月頃には良い香りのする白い小さな花を咲かせます。低木のヒイラギの特性を持つためか、ギンモクセイやキンモクセイなどよりも成長が穏やかで、生垣等にして扱いやすく 人気のある樹種です。ところが葉が枯れたように傷んでしまい、生垣が無惨な姿になってしまう症状が三島市界隈でも広がっています
これは、ヘリグロテントウノミハムシ Argopistes coccinelliformis (以下 テントウノミハムシ)の幼虫や成虫の食害によるものですモクセイ科のヒイラギやネズミモチ等の被害もみられ、なかなか手ごわい虫ですが、対策についてお話します。参考にしてください
目次
- ○ ヒイラギモクセイの生垣の食害虫
- ・原因はテントウノミハムシの成虫、幼虫の食害
- ・テントウノミハムシの生態
- ○ テントウノミハムシの駆除
- ・① <落葉・土中期>冬季、5月~6月中:成虫、幼虫(サナギ)の駆除
- ・② <樹上期>3月下旬~5月:成虫の駆除
- ・③ <樹上期 葉肉内>6月中~、秋:幼虫の駆除
- ○ まとめとして
ヒイラギモクセイの生垣の食害虫
ヒイラギモクセイの生垣
気づくと、葉が枯れたように傷んで、そしてそれが広がっていってしまいます
原因はテントウノミハムシの成虫、幼虫の食害
葉を観察すると、小さなテントウムシのような虫、近づくと跳ねてどこかに行ってしまいます。これがテントウノミハムシの成虫です
葉を観察すると、頭が黒く 胴体が黄色っぽいテントウノミハムシの幼虫を見つけることが出来るかもしれません。これは 葉に潜り込んで中から葉を食い荒らします
テントウノミハムシの生態
(静岡県三島市では)
落葉の中などで越冬した成虫が春(3-4月頃)に樹上にあらわれます
その後、成虫は交尾して新芽などに産卵。しばらくすると幼虫が孵り、葉肉内に潜りながら食い荒らします。およそ1カ月の幼虫期を経て、木から這い降りて、1カ月程 土中ですごし羽化、ふたたび樹にのぼった成虫が葉を食害します
おおよその時期ですが
冬季 ~ 成虫・・落葉・土中で越冬
3月下旬~ 成虫・・樹上 交尾、新芽に産卵
4月~5月 幼虫・・孵化 葉肉内潜り食害
~6月中 幼虫→成虫・・土中で羽化。樹上に移動、葉を食害
夏季 成虫・・(一部) 産卵
以下 くりかえし
テントウノミハムシの駆除
お客様のヒイラギモクセイで発生し、駆除をしていますが、完全に駆除するまでになっていませんが、駆除のポイントはおおむね以下で良いと思います
① <落葉・土中期>冬季、5月~6月中:成虫、幼虫(サナギ)の駆除
生垣の下の落葉を片づける
※テントウノミハムシ、ヒイラギモクセイの適用農薬はありませんが
GFオルトラン粒剤のような粒剤地面に播く殺虫剤(粒剤)が効果的と思いますが、残念ながら、適用農薬がありません
(写真は 農薬登録情報提供システムより引用)
② <樹上期>3月下旬~5月:成虫の駆除
成虫は 飛び跳ねるので、周囲、下の植栽など広範囲に散布します
薬剤は、ヒイラギモクセイ、テントウノミハムシに適用登録のあるマツグリーン液剤2・ベニカXネクストスプレー等を散布します
③ <樹上期 葉肉内>6月中~、秋:幼虫の駆除
幼齢幼虫は葉肉内なので、マツグリーン液剤2のような浸透性のある薬剤が効果的です
一旦食害された葉は、元の姿には戻りませんが、健康な新芽を更新していくことで、改善していきます
対象の虫の形態(卵、幼虫、サナギ、成虫期等)や住んでいる場所(樹上、葉肉内、落葉・土中)など良く理解して、薬剤など適切な対策を行うことが大切です
まとめとして
庭木、生垣の樹種として、見栄えも大事ですが、管理が楽など(病害虫の害が少ない、成長が穏やか、その地の環境にあっている等)条件があると思います
植栽の際、できる限り そのような視点からも、お客様に樹種の提案をしています
一方 先のブログのレッドロビンなども、当初病気が少なかったものが病気になったり、テントウノミハムシの被害も最近特に広がっていると思います
なかなか、思うようにいかないですが、お客様とともに 素敵なお庭を維持していきたいと思います
庭の樹々の変化に気づきましたら、お気軽にご相談ください