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庭の管理・・肥料の与え方と注意点。初心者の失敗も紹介!

ふだんの庭の管理、水やりについてお話しましたが、今回は施肥についてお話します。施肥(肥料をやる事)も、水やりと同じく、根をしっかり生やすことがポイントと考えています

目次

苗の植える時の施肥

施肥の考え方やポイントについて、新しく苗を地植えした時と、活着し大きくなった庭木と分けてお話します

この堆肥や肥料を使っています

具体的な使い方については、後半でお話しますが、弊社では牛ふん堆肥を使っています
鶏ふんに比べ、肥料分(窒素やリン酸、カリなど)が少なく穏やかなので使いやすいです。またニオイも鶏ふんに比べ気になりません。屋外で使用する分には問題ありません。弊社では、近郊の下山牧場さんの堆肥を使っています。しっかり熟成されていて良いです
肥料は、JAで販売されている「ニュー大八州」という窒素、リン酸、カリをバランスよく含んだ化成肥料等を使っています
(苗を地植えする時は、ほとんど使いませんが)

初心者の頃の失敗

この仕事に就いて、しばらくしたころですが、お客様からミカン苗の植栽依頼がありました
その直前に、ミカン苗の移植があまりうまくいかなかったことがありました。そこで、ミカン農家の方に、植え付けや移植の際のコツを教えていただきました。その知識を生かし、植栽適期に植え、根元の保湿や保温を目的に麻袋でマルチングしたり、支柱や防風目的の寒冷紗など万全と思いました
しかし、しばらくしたら、お客様から 植えたミカンが枯れそうと連絡をいただき、確認に行くと 確かにひん死状態でした。驚きながら、(活着しなかったので)枯れ補償の苗を準備し植替えに伺いました
植え替えようと、枯れかかった苗を掘ると、根にびっしりとシロアリが・・
はじめての経験でしたので、お客様に心当たりを伺うと、堆肥を足したとのことでした
植栽直後、庭で使いたいから、堆肥を持ってきてくれないか?との依頼があり、指定の5袋を納品しました。その5袋のほとんどをそのミカン苗の根元に播いたそうです
高齢のお客様は、少しでも早く大きくして実を楽しみたいと、肥料を沢山あたえればよいと思ったわけです
ミカン苗は、牛ふん堆肥は肥料分が少ないとしても、沢山あたえたことで、苗が生育のバランスをくずし、枯れてしまったようです

水やりと同じく、まずは 新しい根を育てる

それでは、どうしたらよいの?との声が聞こえてきそうです
私は、植栽の際は苗の根鉢の大きさにあわせて植え穴掘り、そこに箱根の山土(赤土)に少しだけ牛ふんを混ぜたもので満たし植えます。箱根の山土は箱根や富士山の火山灰が積もってできた土で、保水性、排水性も良く この土で作った野菜(特に根菜類)は、箱根西麓野菜というブランドで売られ、とても好評です。そんな山から切り出された土を使っています
また、この植え土には、肥料(化成肥料等)は混ぜていません
先ほどの、ミカン苗での植栽に失敗した際、先輩に「苗はまだ赤ちゃん。離乳食が必要な時に、ウナギやステーキ等、急に食べさせたら、お腹を壊すし、最悪死んでしまうだろ・・」と言われ納得し、肥料のあげ過ぎないように気をつけてます
植栽した苗は、新しい根を生やすことで活着します。あまり肥料分が多いと、あまり根を伸ばさなくても 当面必要な根を伸ばさなくても済んでしまいます。新しい根をしっかり伸ばすように、水やりと同様に、肥料も与えすぎない方が良いと考えています
少し話はそれますが、桜守の佐野藤右衛門さんは、サクラの苗を植える際、植穴は深く掘らず、肥料も足さないと新聞のコラムか何かで読みました。自然の中で 落ち葉は堆積して堆肥になるが、その堆肥は上から積もるのであって、自然では土に混ざることは無い・・と言う事を言われてたと思います
私は、土に全く混ぜないと言う事は出来てませんが、肥料分を与えすぎないように心がけてます

大きくなった庭木の施肥

園芸の本などを読むと、寒肥(かんごえ)、お礼肥など樹の生育暦に従った施肥方法 見かけると思います
今回は、少し元気が無い庭木への施肥に絞ってお話します

こんな肥料を使います

肥料は先ほど紹介した「ニュー大八州」や「グリーンパイル」を使います
グリーンパイルは、紙製の筒に、肥料が満たされていて、樹の根元に打ち込むものです


" >グリーンパイル

肥料の与え方

グリーンパイルは(取り扱い説明書に従い)根元に数本打ち込みます
紙筒に満たされた肥料が、時間をかけて溶けだし、樹の根に養分を与えてくれます

化成肥料(粒剤)も、根元にパラパラまきません。周囲の草に栄養を与えてしまうからです
私は、鉄杭などで根元の数ヶ所に深さ20cm程の穴をあけ、その穴に化成肥料を満たし、軽く土でフタをします
この方法やグリーンパイルも同様ですが、根の周囲に穴をあけることは、根元に空気を送ることになり、新しい根が穴の周囲にび生え、樹を活性化します

余談ですが、施肥の際、同様に杭で穴をあけて、そこにオルトラン等根から吸収する殺虫剤を入れます
新しい根を食害する コガネムシ等の駆除を目的にしています


" >オルトラン

施肥の注意点

施肥についても失敗談があります
いつも伺うお客様の隣家の方から、シダレザクラが元気が無いから ちょっと見てくれないか?との相談がありました
大きなシダレザクラがあることは知っていましたが、確かに元気が無く、当面 様子を見る目的で、根元にグリーンパイルを3本、数ヶ所穴をあけて、殺虫剤(粒剤)を施しました
しばらくして、シダレザクラが枯れてしまいました・・
驚いて伺うと、ホームセンターで同じ「グリーンパイル」を見つけ、購入して根元に6本程追加で打ち込んだそうです

お客様は、少しでも元気になるように、薬だから沢山やればそれだけ効果があるはずと、私の分と、さらに2倍追加したわけです
薬と同様に、適量なら「薬」ですが、度を越せば「毒」になります

まとめとして

お客様の心理としては、植えた樹がしっかりと早く大きくなるように、水や肥料をあげすぎる傾向が強いと思います
それは、過保護になったり、樹の生育に害になったりします
子どもを育てるのと同様に(3人しか育てていませんが)過保護、過干渉にならないように、一方 見守りはしっかりとして、時に手を差し伸べることが大切と思います

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