樹や庭の基礎知識 

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造園と園芸のちがいは?

お客様から質問のあったことを説明しながら 私の考えを話したいと思います

その1回目は 「造園と園芸の違いとは」

目次

「造園」は新しいことば?

「造園」や「造園業」と普通に使っています。ところが「造園」という言葉が日本ではじめて文献に使われたのは明治26年 小沢圭次郎の『公園論』が最初だそうです
(庭園をつくるという意味の作庭、築庭、造庭等の言葉は古くから使われていたそうです)

庭の発展

人々は生活するうえで、家の周りを囲い 畑や池を作って樹々や花を植え、動物や魚を飼ったり・・実用や楽しみの場として「庭」は発展してきました。国々でそれぞれ発展し 現在の形になりました。特に近代(19世紀ごろ)になると、庭は個人だけでなく、広く市民のための公園や広場、郊外の自然公園など、対象が広がり、それをあらわす言葉が必要になりました

「造園」はLandscape Architectureの和訳から

19世紀の中頃 アメリカで「ランドスケープ アーキテクチャー:Landscape Architecture」という言葉が、ニューヨークのセントラルパークの設計者 フレデリック・ロウ・オームステッド(Frederick Law Olmsted)によって提唱されたそうです
Landscape Architectureの直訳では「景色建築」ですが、先ほどの小沢氏が「造園」と和訳し使ったのですね
日本でも、明治神宮の造営を機に、造園の研究や教育が必要となり、大正8年(1919年)現在の東京大学の農学部に造園学が開講され、その後 発展してきました


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「造園」をまとめると

植物や石など自然材料を生かして 利用する人が実用や安らぎを得ることができるその場所や環境を造る技術の事です

「造園とは、植物、岩石、水など自然材料を主に用いて、一定の土地もしくは環境を美しく造成・整備する技術であり、そこを利用する人々、そこに介在する人々に快適性や安らぎ、喜びや楽しみを提供することを前提とするものである」(造園施工必携 社団法人 日本造園組合連合会刊より)

(ウンチク)庭園とは

「庭」は、人々の生活に必要な場
「園」は、草花や果樹などを植えた囲われた区画、圃場 として使われていたそうです
「庭園」と言う言葉も、小沢氏が「明治庭園記」(明治6年)にはじめてつかわれたようです。がぜん 小沢圭次郎氏に興味がわいてきますw

「園芸」も明治以降に使われるようになった新しいことば

「園芸」が使われる以前は「種芸」や「樹芸」と呼ばれていました
「園」は圃場(圃場:畑)。「芸」の旧字「藝」は植えるの意味で
英語のHorticulture 「囲われた土地で作物を栽培する」の和訳として使われるようになりました
造園は、「園」の環境を造る技術
園芸は、「園」で生産する野菜、果樹、庭木、花卉などの栽培やそのための技術です

大正ごろまで、園芸は庭を造る技術(造庭、造園)の意味合いも強く残っていたそうです。今回のテーマ「造園と園芸のちがい」ももともと曖昧だったものが、時間を経て明確になってきたようです

園芸とガーデニング

西洋の「ガーデニング」を日本では「園芸」や「庭仕事」と言っていました。このことも「造園と園芸」の違いを曖昧のした一因かもしれません
「ガーデニング」には、園芸の植物の育成技術だけでなく、美観を重視し、生活空間の向上する意図も含まれています
この使い分けも、今後明確になっていくのでは?と思います

まとめとして(堅苦しい文章になってしまいました)

造園は庭園の環境を造ること
園芸は庭園などで作物を作ること
ガーデニングは庭園で暮らす人が、美観を意識して、植物を育てたり管理すること、と思います

造園は、植栽や配置の定石や成長に伴った将来の姿を想像する経験も必要になります
園芸は、その土地にあった作物や病害虫対策の情報もあります
ガーデニングは、庭との関係として 理想と思っています

お客様ではできない事など、相談していただければ、様々な面で お手伝いできると思います
最後までお読みいただきありがとうございました

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