樹の成長について:自分で剪定してみよう4
自分で剪定するポイントと注意点の5は樹の成長についてです
剪定する前に樹の成長についてお話します。私もこの仕事を始めるまで知らず、思い込んでいました。簡単なことですが、剪定するうえで、とても大切なポイントです
目次
- ○ 樹はそのままの形で大きくなる?
- ・幹から生えた枝はその位置で太くなります
- ・支障枝は、枝が細いうちに切る
- ○ 樹は均一に成長する?
- ・樹は上部の成長が早い
- ・剪定も助長させてます
- ・剪定は「上は薄く、下は濃く」です
- ○ まとめとして
樹はそのままの形で大きくなる?
樹の成長は、枝が伸びたり枝葉の数が増えますが、苗の時の形がそのまま拡大(ズーム)するように大きくなると思っていました。幾何学的に言ったら 相似形でしょうか
幹から生えた枝はその位置で太くなります
幹から生えた枝は、その位置(地面からの高さ)で太くなります
枝の成長にしたがい、新しい芽(枝)を伸ばしていきます
幾何学的に言うと、フラクタル(自己相似形)のようと思います
何が問題なの?と思うかもしれませんが、実は重要なポイントです
私は、市内の同業者と 三島市内のサクラの保護活動をしています
特にソメイヨシノは成長が早く、基本樹形も横に広がりやすい性質です
成長し、気づくと枝が人や車の通行の支障となり、太くなった枝を切ることがあります
枝の細いうちに枝を切っておけば、切口が樹皮で覆われて、幹の木質部を腐らせる事はありません。しかし太くなってから切ると、切り方が適切であっても(切り方については、またお話します)切口を樹皮が覆いきれず、その切り口から腐ってしまい、樹を傷めてしまう事になります
ソメイヨシノは成長が早い分?木質も柔らかく腐りやすく、これらが、ソメイヨシノの寿命があるといった話にもつながっていると思います
支障枝は、枝が細いうちに切る
このような樹の成長を理解し、将来的にじゃまになる枝(支障枝)は、枝が細いうちに切ることが大切です
細いうちに切れば、切口が樹皮が覆い 木質部を保護してくれます
樹は均一に成長する?
毎年刈っている 生垣の上の方が前方に倒れてきてしまった
なんか樹の頭の部分がどんどん大きくなってしまう・・
気づかれている方もいらっしゃると思います
樹は上部の成長が早い
樹の成長は上下左右均等に成長するように思ってしまいますが
実際は、上部の成長が早いです
太陽光が良く当たる部分の成長が早いです
根から吸い上げられた水分は、樹の上部に優先的に送られるそうです。樹は周りの樹より早く成長して、太陽光を存分に浴びたいので上部の成長を優先します
太陽光があまり当たらない下部は、成長がゆっくりだったり、光の当たらない枝は葉を落としてしまったり、枯らしてしまったりします
剪定も助長させてます
お客様のお庭で、下の部分の枝は全くないのに、上の部分の枝がこんもりと茂った樹をみることが多いです
脚立にのって上部の剪定をするのはおっくうで、剪定の回数が少なく、手の届きやすい部分は剪定回数も増えてしまいがちです
気づくと成長の遅い下部の枝が全くなくなってしまったり、あってもほんの少しで、葉もパラパラになってしまいます
剪定は「上は薄く、下は濃く」です
では どのように剪定したら良いでしょうか?
まず、外形的には生垣でいえば、垂直に刈り込むのではなく 上部は深く、少し奥に刈り込みます
そして、枝を透かす際には、上部は薄くなるように(枝葉が少なくなるように)下部は濃くなるようにします
そうすれば、成長しても(翌年)生垣が前に倒れてくることも軽減できますし、下部に光が当たりやすくなることで、下部の枝葉の成長も促せます
まとめとして
具体的な剪定技術の前に、樹の生理の話でムズカシイと思われたかもしれません
剪定をしているとき、「枝はその場で太くなる」「上は薄く、下は濃く」とか言っていたなと思い出していただくだけで良いです
私の親方(父)は「樹は自分で治るから、まず剪定してみな」と言ってくれました
名言です
情報が多くなり、考えなながらやると 手がとまってしまいます
マツなど針葉樹の剪定は切りすぎると新しい芽が出てきませんが、それ以外は、極端で無ければ、修復されます
自分でやったことを覚えておいて、観察して 翌年答え合わせするぐらいの気持ちで、まず剪定してみてください
リンクは、ご自身で剪定するお客様に紹介している本です。写真やイラストなどでわかりやすく、樹種による剪定についても、簡潔に書かれています
このような本を手元に置いておくと重宝すると思います