切戻しと透かし剪定:自分で剪定してみよう6
枯枝や「忌み枝」を切除して、ずいぶんすっきりしてきたと思います。今回は、切り戻し(刈込み)と透かし剪定についてお話します
目次
- ○ 剪定の基本と種類
- ・切戻し剪定
- ・透かし剪定
- ・透かし剪定とフラクタル
- ○ まとめとして
剪定の基本と種類
剪定の基本は、前回(昨年)切った位置で切り、元の形に戻します
切った位置は、切口が太いのでわかると思います
(私は、まずは刈込バサミは用意しなくて良いと言いましたが・・)
広い面積を均質に切り戻すのに刈込バサミを使います
刈込バサミを使った刈込剪定も切戻し剪定の1種と思います
昨年切った位置まで刈り込むのは簡単そうですが、案外これが難しいです
昨年切った枝は太くなり、刈込むのは大変です。刈込バサミで同じ位置まで刈り込んだつもりでも、昨年より1-2cmは大きくなってしまいます
10年もすると元々の形から10-20cm大きくなってしまう事が良くあります
切戻し剪定
切戻し剪定をもう少し詳しく見てみます
(イラストの赤い部分は翌年伸びた枝のイメージ)
切戻すと、切口に近い芽や陰芽(隠れた芽)から沢山新芽が伸びます
親戚のお茶畑の管理も手伝います。茶畑を刈りこんでいて、刈込み剪定は芽(葉)を増やす剪定だなと思いました、毎年 刈り込むことで、枝先が分化して密に葉をつけることになります
(収穫する茶葉を増やしたいのですから、当然です)
刈込みは、ツツジ等や、生垣等で葉の密度を増やすのに有効です
一方で密な枝葉の奥に、枯葉や枯枝が増えてしまったりします。庭木や生垣も重い印象になってしまうかもしてません
また、風通しが悪くなり、病害虫が発生しやすくなったりします
補足ですが、刈込みでは、枝とともに、葉も切ってしまうため、しばらくすると葉の切口や太い枝の切口が目立ってしまう事があります
丁寧に仕上げるには、そのような枝や葉を後で、木バサミなどで取り除きます
透かし剪定
切戻し剪定は、前回の位置で枝を切り(刈込み)ますが、透かし剪定は、樹の外形を意識しながら、込み過ぎている枝を枝元で切り、樹冠(樹の全体)を適度に好かして、通風や葉の日当りを良くする剪定方法です。透かす程度により、小透かし、大透かし(荒透かし)などと呼びます
以前のブログ「樹の成長について」でお話しましたが、上の方の枝ほど成長が良いため、透かす際も、上部は強めに透かします(枝葉を少なくします)
毎年切り戻し剪定(刈込剪定)している樹は、枝葉が混み過ぎてしまうので、数年に1度透かし剪定するのも良いと思います
透かし剪定とフラクタル
図は、「V」字形を組み合わせて描いた樹形です
幹から2分割した「V」字の先に、少し小さな「V」字をくり返し足していくと、なんとなく樹の形になります
数学的に言うと フラクタル(自己相似性)という考えです
最初、私は透かし剪定のイメージがつかめずうまくできませんでしたが、「樹の成長はフラクタルなんだな」と気づいてから、この樹の成長をフラクタとみたて、このイラストでいえば、太い(大きな)Vを抜けば、数年前の形、樹を小さくでき、狙った外形に出来ることに知り、コツを得ました
剪定を始めようという方に「剪定はフラクタルだ!」なんて叫んでも、きょとんとされてしまうかもしれませんが、枝元で切って抜くという剪定手法は、実に理にかなった剪定手法と思います
まとめとして
機会をつくり 詳しくお話しますが、野山の自然の樹は、他の樹との競争もあって、早く大きくなって太陽光をたっぷりあびようとします。したがい、日陰の枝葉(弱い枝)には養分の供給を絞り枯らしてしまい、上部の枝に成長エネルギーを集中します。徒長枝等(強い枝)は、どんどん上へ成長します
一方、庭木は、できる限り同じ樹形を維持したいため、前回お話した徒長枝等「忌み枝」(強い枝)を切除して同じ形を維持しようとしています。剪定は 樹の生態と違った 独自の技術です
次回は、枝のどの部分をどう切ったら良いか?お話します
(私はこの仕事に就いて13年程の経験から書いています。間違い等ありましたら、ご指摘ください)