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スズメバチ、アシナガバチ 注意したい虫たち その1

捕獲したスズメバチ

初夏から初秋は、庭木を手入れをする私たちに、手ごわい虫たちが多いです。まずは刺されると痛い虫、ハチについてお話したいと思います

目次

スズメバチやアシナガバチ、ミツバチは怖い虫?

フタモンアシナガバチと巣

朝の番組などで、この時期 ハチハンターさんと同行取材などが、放送されます
また、都市伝説のように「ハチに2回刺されると死ぬ」と信じている方が多くいます
そんなこともあってか、ハチはとても怖い虫と思われている方も多いと思います

巣を見つけたら駆除したほうがよいのでしょうか?

軒下のアシナガバチの巣

植木屋の仕事をしていて、毎年ハチの巣の駆除10個程 除去しています
(数年間草刈りをしていなかった分譲地で 46個のアシナガバチの巣を除去したことがあります)
これは、樹を剪定する、草刈りをするという作業で、自分たちが刺されないためや、お客様が生活する中で、無意識に巣を刺激して、ハチに刺される可能性があるものに限って巣を除去しています
2階の軒下など、近づく恐れのないものはそのままにしています
ハチは基本的には肉食で樹木や草や野菜に着く幼虫や成虫を捕食してくれる、植木屋、庭木の味方でもあります

「ハチに2回刺されたら死ぬ」? ハチ毒とアナフラキシーショックについて

アシナガバチに刺された手

先ほどにも書きましたが「ハチに2回刺されると死ぬ」と信じていられる方が多いと感じます
毎年20-30人の方がハチに刺されたことで、命を失っているそうです。これはアナフラキシーショックが原因と思われます

ハチに刺された時の症状について
刺すハチの種類はスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチの3種類です。ハチの毒には痛み炎症を起こす成分と多数のアレルギーの原因となるたんぱく質(アレルゲン)が含まれています

おおよそ3段階に分けられます
① ハチ毒の直接作用による症状:刺し傷、毒の痛みや炎症を起こす成分によるもの

② ハチ毒アレルギーによるアナフィラキシー症状:ハチに刺された約20%の方がハチ毒特異IgE抗体というものができ、その抗体を持つ方がふたたび刺された時に、全身アレルギー反応を起こすことがあります
アシナガバチもスズメバチも共通なアレルゲンがあるため、アシナガバチに刺された人がその後スズメバチに刺されて アナフィラキシーを起こすことがあります

③ ②のうち数パーセントがアナフィラキシーショック(意識障害や急な血圧低下)をおこします。刺されてから数分から十数分で症状が出るそうです。大変 危険な状態なので、救急車を呼ぶ、エピペン(アドレナリン自己注射)を打つなど緊急の対応が必要になります
数パーセントをおおよそ5%とするとハチに刺された方の20%×5%=1%
したがい、ハチに刺されたことがある人が2回目にさされると100人に1人がアナフィラキーショックという重篤な症状になると言う事です。ハチ毒は危険ですが、「2回刺された」とパニックにならずに、冷静な対応が必要です

ただし、2回目に刺された時、アナフィラキー症状が出た人は、ハチ毒特異IgE抗体を持っているので、十分注意したほうが良いのは間違いありませんが、刺された後、慌てることなく、全身に症状が出ないか、冷静に観察することが大切です

ハチに刺されないために ハチの生態を知ろう

私たちは、ハチの多い夏の手入れの際には、手入れする樹を熊手などで何回かたたいて様子を見てから、作業を始めます
おおむねハチの巣は同じような場所にあるため、一度あった場所は注意します
また、作業中ハチを見かけたら、どこに行くか?しっかり見ます。ハチが入った樹には巣がありかもしれません
知り合いのハチハンターさんは、ハチが狩りに巣から出たのか、狩りを終えて巣に戻るのかわかるそうです

ハチはむやみに刺してきません
ハチは自分から攻撃はしてきません。ヒトなどが無意識に巣に近づいてしまったりして、巣に危害を加えようとした時に攻撃してきます。また 近くに飛んできても驚いて手で払ったりしてはいけません
ハチが飛んで来たら、身を低くして、ゆっくり遠ざかります(ハチは下が見えにくく、動く物に反応するそうです)。そうすれば刺してきません

スズメバチ、アシナガバチの生活暦

初期のスズメバチの巣

スズメバチは本州にはおおむね8種が生息しています
前年秋越冬したスズメバチの女王バチは、4月~5月頃に活動を開始します
最初の1カ月、1回目の働きバチが羽化するまでは女王バチ1頭でエサ集めや巣の材料集めを行います。この時期 スズメバチの巣は逆とっくり型で、また女王バチはよほどのことがない限り攻撃してきません(刺す針は産卵管で、刺すと壊れてしまうそうです)、除去するなら、良い時期です
6-7月になると働きバチの羽化が本格化します。巣の大きさと働きバチの数が対応しているので、大きくなると働きバチの数も増え、駆除が困難になります
(昼間では半分の働きバチが狩りに行っているとすると、半数の巣に居るハチを駆除しても、半数が戻ってきて攻撃されることに)
スズメバチの種類によっては、最盛期には1000頭になるものもあります
11月頃まで活動し、巣も大きくなるので、私は8月末以降の巣の除去は、専門のハチハンターさんに依頼しています

アシナガバチも本州には8種が生息しているそうです
巣はお椀を伏せたような形が多く、スズメバチと同様に、初期は女王バチ1頭で営巣しているので、この時期に巣を除去すると安全です
スズメバチと異なるのは、活動は8月ぐらいまでで、9月になると巣は大きくならないようです

ハチの駆除のポイント、刺された時の応急処置

捕獲したアシナガバチの巣と殺虫剤

ポイントだけ箇条書きします。また別の機会に詳しくお話します

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ハチの駆除のポイント

・ハチ専用の殺虫剤を使う:薬剤が遠くまで飛び、薬効も強く飛んでくるハチも落ちます
・白い服を着る:黒いものを攻撃する習性があるそうです
・駆除は単独ではやらない:何かあった時、一人では対応できません

ハチに刺された時の応急処置

ポイズンリムーバー

・毒を絞り出す:口では吸い出さない。ポイズンリムーバー等使うと良い
・流水で毒を流し、患部を冷やす:ハチ毒は水溶性です
・体調を観察する
・虫刺されの薬を塗る:常備しておくと良いです
・心配なときは、外科、皮膚科等病院へ


" >ポイズンリムーバー

まとめとして

ここに書いたことは、ハチハンターさんに教わった事や、自分で調べたこと、経験的なことです
間違っている記載もあるかもしれませんが、その際はご指摘ください
特に 刺された時は、冷静に観察し、全身症状があるようでしたら、ただちに医療機関に向かってください
(運転は、刺されていない人。症状が悪化するようでしたら、走行中でも、救急車を呼んでください)

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