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チャドクガ 注意したい虫たち その3

交尾中のチャドクガ

初夏から初秋は、手入れをする私たちに、手ごわい虫たちがいます。独断ですが植木職人が嫌いな虫ワーストはチャドクガ、ドクガ類と思います。今回はチャドクガを中心にお話したいと思います(毛虫等 嫌いな方 閲覧注意です。申し訳ありません)

目次

チャドクガは こんな虫です

チャドクガの幼虫

チャドクガの幼虫は、ツバキ科のツバキ、サザンカ、チャノキ、ワビスケ、ナツツバキなどの葉を食害します
集団で食害し、多数発生すると樹が丸坊主になってしまうほど旺盛な食欲です

チャドクガは毒針毛を持ちます

ドクガは幼虫1匹に毒針毛を50万~600万本も持つそうです。ドクガ科のすべての種が毒を持っているわけではありませんが、チャドクガの毒針毛にはヒスタミン、プロテアーゼ、エステラーゼ等の物質が含まれていて、その毛に触れると強い痛痒感およびアレルギー反応をおこします
チャドクガの幼虫は6-7回脱皮をくり返し成長しますが、その抜殻や成虫、卵塊にも毒針毛が残ります。毒針毛は抜けやすく、触れるだけで症状が出るので 厄介です

チャドクガに刺されないために知っておきたいことは

刺すと表現しましたが、チャドクガから刺すことは無く、ヒトが毒針毛に触れてしまうことで発症します

チャドクガの生態を知りましょう

チャドクガの成虫(ガ)は、葉の裏に黄色い毛玉状の卵塊(1か所に、約120個の卵塊)を産み付けます
卵塊で越冬して春に孵り4~6月と8~9月の年2回(3回の年も?)発生します
ちょうどゴールデンウィークやお盆休みの頃で、庭の手入れをしていたら、チャドクガにかぶれたという方も多いかと思います
したがい、この時期にツバキ類を手入れする時は、要注意です
ツバキやサザンカ等剪定の剪定の適期は花後の3~4月頃ですので、チャドクガの発生前に剪定することは、チャドクガに触れにくく、樹にも良いです
イラガ類(幼虫)と同様に幼齢期は葉裏の1か所にまとまっています。成長すると、複数の葉に分散します
ナツツバキ等、ツバキ科でも落葉のものは、葉に越冬卵がつくことは無いので、1回目、4~6月の発生はほとんどありません。8~9月の手入れの際は注意します

剪定前に樹をよく観察します

仕事で剪定する時期は、お客様の都合(お庭の樹種、年1回か複数回か)等、必ずしも選べません
その際に、食害された葉が無いか?クモの巣は張っていないか?よく観察します
食害痕は、過去に何かしらの虫がいた形跡です
また、その樹に虫が多いから、クモが巣を張っていると考えられます。チャドクガの居る可能性も高いと思い注意してとりかかります

チャドクガの駆除と刺された時の応急処置

チャドクガ(幼齢)

飛び散った毒針毛や抜殻でも触るとかぶれてしまう、チャドクガ
殺虫剤で幼虫を駆除しても、薬剤の強さによっては 落ちずに葉の上で死んでいたり、当然 抜殻も残っていてなかなか面倒です
夏に空調服を着ていると、ファンから毒針毛を吸い込んでしまったか?ファンのあたりが痒くなることがあります

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駆除のポイントです

チャドクガ 越冬卵

剪定作業は 手袋、長袖等、肌の出ない服装での作業は必須です
チャドクガの食害で丸坊主のツバキを伐採したときは、使い捨ての不織布の防護ツナギを着て作業しました
チャドクガが葉裏に集まっている頃は、手際よく切除して スーパー袋や土のう袋に入れ そのまま処分します。うまくやらないと、チャドクガが一斉に糸を伸ばしながら、下に落ちていきます
また、切除した枝葉を 下におとしておくだけでは、しばらくすると、チャドクガは再び樹にのぼっていきます。思ったより活動的です

一番楽?な駆除は、幼虫が孵る前、越冬卵(卵塊)のある葉を、剪定しながら切除することです
この越冬卵にも毒針毛がついていて、触るとかぶれてしまいますが、動かないから楽です
また、チャドクガの良くつくツバキ等は、思い切り透かし剪定するのも良いと思います
一般に、病害虫の対策として、風通しを良くすると言います
標高の高いところや 降雪するところでは、チャドクガの発生が少ないようです。三島では昨年、今年 冬の降霜日が多かったためか、チャドクガの発生が少ないです。寒いと、越冬卵は孵ることができない様なので、「風通しの良い剪定をすると、チャドクガの越冬卵の孵りにくくなる(仮説)」と思っています

チャドクガに刺されてしまったら

チャドクガのかぶれ

自分は植木屋に向いているかな・・と思う理由の一つに、チャドクガの毒に耐性?があることです。毒針毛でかぶれますが、触れた部分を洗って、市販薬を塗っておけば、翌日には痒みは引きます
職人さんはアレルギー体質?なので、触れたら即 皮膚科に通院し点滴などを処置してもらいます(処置しないと 1週間くらい仕事になりません)

ハチ毒ほど痛みはありませんし、痒くなってはじめて触れてしまったと気づくことが、ほとんどかと思います
アレルギー反応なので2回目以降の接触の際 症状が重くなる傾向があります
毒針毛が触れた周辺や脇のあたりなど、広範囲に発疹が出て 痒くなります

まず、刺された(触れた)とわかった時は、テープなどで毒針毛を取り除きます
衣服などに毒針毛が残っているかも知れないので、着替えた方が良いです
患部周辺を水やシャワーで洗い流い、抗ヒスタミン成分の市販薬を塗ります
症状を観察し、皮膚科の診断を受けることも良い判断です


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まとめとして

痒い虫ですが
越冬卵(卵塊)も触るとかぶれてしまうと知り、まずは不思議に思いました
成虫(ガ)が産卵した卵になぜ毒針毛があるの?か調べると、ガは産卵後 自分の体を擦りつけて、自分の毒針毛で卵塊をコーティングして、天敵から護っているそうです
庭や露地(茶室の庭)で良く使われるツバキ科の植物を食害し、手入れをする人に被害を与える、まさに植木屋にとっての敵です。また、お客様が植栽する際に、ツバキ科のものは、勧めにくい状況です。ただ、そんなガの母の愛を知ると、少し許したくもなってしまいます

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