樹や庭の基礎知識 

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庭の管理・・庭木への正しい水やりとは?根ぐされに注意が必要!

遅れた今年(2024年)の梅雨入りも、「東海地方も6月21日に梅雨入りしたと思われる」と気象庁から発表がありました。今年も猛暑でしょうか?

植えた樹やお庭の管理の一番の基本 水やりについてお話したいと思います。 水やりなら いつもやっているから 大丈夫と思われるかもしれませんが、植木屋ならではの視点もありますので、しばらくお付き合いください

目次

新しく植えた庭木の水やり

複数回にわたって、シンボルツリーからの庭づくりをお話しました。気に入り、やっと植えたシンボルツリー(庭木)を枯らしてはいけないと、毎朝夕水やりをする方が多いです
一方、雨のかかる地植えだから、大丈夫と まったく水やりしない方も、時々います
新しく庭木を植栽した時、お客様にお伝えする、水やりの仕方と考え方をお伝えします

根元が乾いたら、バケツ1杯分を目安にたっぷり水やりをする

毎朝夕、水道のシャワーで庭全体に水をやっているから、大丈夫と言われるお客様がいらっしゃいますが、この水やりが一番いけないです
サーっと水をかけると、地面の表面が濡れて、いかにも水やりしたようになりますが、地面の奥には水が届いていません。新しく植えた庭木は、新しい根を地面深くまで伸ばすことが大切です。ところが、このような水やりで、表面しか濡れていないと、樹は地表だけしか根を伸ばしません
それでも毎日水をやっていれば良いのですが、夏をむかえて、旅行などで、数日家をあけ、水やりが出来なかった間に 雨も降らず、地表が乾ききってしまい、地表部にしか無い根が傷み、大切な庭木が枯れてしまったり、樹冠部(庭木の上の部分※)の枝が枯れてしまったりします
※水不足の枯れの特徴は樹冠部の枯れです。一般に 病気などの場合は、それ以外部分の枯れます

根元(地面)が乾いたかは、地面に 指を刺してみればわかります
そして、乾いたら 水やりはたっぷりとします。庭木の大きさにもよりますが「1株当たりバケツ1杯分の水を目安にしてください」とお伝えしています
バケツ1杯に水をためるのに、水道のシャワーで数十秒かかると思います。シャワーでさっと水やりした時と 量の差がわかると思います

家のわき、外壁や軒下近くに植えた庭木は特に注意してください

地植えだから大丈夫、昨日も雨が降ったし、と水やりをせず安心しているお客様も居ます
家の外壁近くの地面は、家が家側から降る雨を防いでいることもあり、雨がかかりにくいです
さらに南側などは、日中の太陽光が反射し、地面を乾かし、とても乾燥していることが多いです
また、新築の場合、家の周りは、特に転圧されて地面が硬く、排水性が悪い※ことが多く、庭木には厳しい環境と言えます
※弊社では 植栽の際は、できる限り地面をほぐし排水性をよくしたり、客土するようにしています
根元が乾燥していないか?注意深い確認が必要です
また、写真のように庭木の根元が乾かないように、低木や下草を植栽することも有効です

新しく植えた庭木は、どのくらいで根付くか?

庭木を植えて、いつ頃になったら 根付いて(活着し)一安心できるか?とても気になるところです
樹種や植栽した時期にもよりますが、2週間から 1カ月で新し根がずいぶん広がります
余談ですが、庭木を植える際、支柱をするのは、倒れないようにするだけでなく、風で根元が揺れてせっかく伸びた新しい根が、切れてしまわないようにする役割があります
庭木の植栽時期の目安として、真夏に向けて それまでにしっかりした根が伸びばし、夏の暑さや乾燥に耐えられるようにすることです

ふだんの水やりについて

活着してしばらくした庭木など、ふだんの水やりについて、ポイントをお話しします

水やりの間隔について

根元が乾いたら、たっぷり水やりをする、は変わりません。地温が下がり始める9月のお彼岸以降は、庭木の成長もゆっくりになり、また、秋以降は水やりはせず、降雨などに任せたら良いと思います
お客様の庭や庭木の植栽されている環境(日当りや乾きやすさなど)にあわせて水やりしていると、だんだん、水やりのタイミング(間隔)が、わかってくると思います
時々、夕方には雨の予報なのに、水をやっている方がいます。やらないより良いかもしれませんが、雨は、長い時間、庭に水やりをしてくれるので、地面深くまで水を浸透してくれます。水道代の無駄にもなりますので、天気予報は意識したほうが良いと思います

水やりは朝夕に

一般に 水やりは朝夕にと言われています。私もそれに従っています
確かに、暑い日の日中に庭木に冷たい水をかけたら 傷みそうな気がします。ただ、昼間に突然のにわか雨にあたって、庭木が傷んだという話はあまり聞かないです(笑)
一番 注意しなくてはいけないのは、日中の暑さでお湯のようになっているホースの水を 庭木にかけてしまったり、焼けたコンクリートやタイルに水をかけ、お湯のようになった水が、庭木や植栽の根元にかからないようにすることと思います

根は水を吸収しているだけではありません

水やりについてお話しました。
とにかく 水をやっていれば良い!と思っているお客様も多いです
一方、「根ぐされ」と言う話をしてもピンとこない方も多いと思います
水やりの補足として、そのあたりをお話します

根ぐされとは

「根ぐされ」という言葉を聞いたことがあると思います
一方で、なぜ根が腐ってしまうのか?病気ならわかるけど、排水が悪くて根が腐るって・・ピンとこないと思います
一因に、小学生のころヒヤシンス等の水栽培をやった経験で、水の中でいきいきしている根をみているからかもしれません
植物は、根から水や養分(窒素、リン酸、カリ、微量元素等)を吸収しているだけでなく、酸素も吸収(呼吸)しています
水田は、イネ(お米)は水中で成育できますが、他の草などは苦手な特徴をうまくいかして、単一の植物をうまく生産する農法です。このように、植物によって得意、不得意があります
庭木の多くは、根にいつも水につかっていると、その部分の根がだんだん腐ってしまい、その庭木も元気が無くなってしまいます
水やりをする際は、水の浸みこみ具合を観察することが大切ですし、一番は植える際、その場所の水はけ具合などを観察して、土をほぐしたり、客土し、またはそれでも改善しない場合は、暗渠排水管等を設置して改善します

根あがりについて

「水やり」から少し話がそれますが、根が呼吸している事例として、「根あがり」についてお話したいと思います
公園などで、根が地表から出てしまっている樹を見かけることが、たびたびあると思います
これは、その樹の根が空気を求め、地面から外に大きく根を成長させる現象です
写真は、植栽部分の周囲が舗装されていて、その下では空気を呼吸できないために、ぐっと外に根が盛り上がっています
これを見て、根が地面から出てしまってかわいそうと、根あがりしている部分に土を厚くかけてしまうと、呼吸ができなくなり、樹が衰退するそうです。樹にとっては、大きなお世話というわけです

まとめとして

庭の水やりなど、簡単そうですが、私たちはこんなポイントを注意しながら、水やりをしています
私が、この仕事に就いてしばらくしたころ、親方(父)の知人の 柿づくりの名人に、農業のイロハを教わりました
昔は、山の畑など特に灌水施設がないため、野菜を植えるタイミング(雨の直前に植える等)はもちろんですが、強い苗をつくることが大切と教わりました
強い苗とは、乾燥や 病害虫にも強い苗です。庭木も同様です。強い庭木になるようには、この水やりがとても大切です

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