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習性からの、鳥のフン対策

お客様から、会社の玄関部にハトが集まるようになってしまった。玄関なので、景観や会社に来られる方や従業員へのフンの害があり困っている。どうにかならないだろうか?との相談がありました

マンション等 高層住宅でのハトの害、東京湾野鳥公園の大群のカワウのフンで真っ白になったマツ等の植栽(首都高からも良くみえます)、夜は少し明るいところを好むため、数千羽のムクドリが街路樹や店舗の植栽や電線に集まり大量なフンを落とす(三島駅のケヤキも沢山とまり、観光客の三島の第一印象が鳥のフンだったという事もあり、植栽を管理している同業者は対策に苦慮しています)等 いくつも思い出されます。鳥の対策について調べてみました

お客様の会社にハトが集まるようになった経緯を伺うと、会長(お客様)が、片足のハトに気づき、(かわいそうと思い)ハトにエサをやるようになったそうです。しばらくすると他のハト複数が集まるようになってしまったと言う事でした

目次

ハト(鳥)のフンについて

美観上気になるフンについて調べてみました

ハトのフンとは?

ハトのフンと言いましたが、実はこれは私たち哺乳類でいうオシッコとウンチが混ざったものです
白い部分が(哺乳類でいう)オシッコで濃い色の部分がウンチだそうです。哺乳類のように別々に排泄するのではなく、一緒に一度にします
鳥は卵で生まれる事(卵の中で効率よく排泄するため)や空を飛ぶために体を軽くするため(人はオシッコを尿素、液体として排泄しますが)、尿素を尿酸に結晶化して水を使わない仕組みが備わっています。白い部分は尿酸の結晶だそうです

鳥はフンを所かまわず排泄する?

(本で読んだ知識ですが)フンは自分の居場所などを敵に知らせてしまうので、哺乳類はすみかから遠くにフンをしたり、一か所にまとめて排泄したり、排泄を意識してするように進化したそうです
一方、鳥は飛ぶことができ天敵から身を護るために、そのように進化せず、所かまわず排泄します
ただし、巣の中がフンまみれにならないように、ある種のヒナは糞嚢(ふんのう)という器官があってフンを薄い膜に包んで排泄するそうで、親鳥がそれをつまんで 外に排出するそうです
また糞嚢を持たない種は、巣の外に向かって排泄して、巣を汚さないそうです

ハトのフン等の害はあるのでしょうか?

美観上の問題もありますが、ハトのフンは人にとって害があるのでしょうか?
調べると乳幼児や免疫力の弱った方、妊婦などが罹患するとリスクが大きい感染症がありました。調べてみると 怖くなります
・乾燥したフンや羽毛等の吸い込むことによるアレルギー反応(間質性肺炎)
・オウム病クラミジア(ハトの3~7割が保有とのこと)によるオウム病
・サルモネラ菌(ハトの2割程度が保有とのこと)による食中毒
・鳥類のウイルス性感染症のニューカッスル病(人はまれに急性結膜炎を起こす)
・トキソプラズマという寄生虫によるトキソプラズマ症
・ヒスとプラズマ真菌による感染症(免疫不全の人は慢性肺感染症を発症する場合がある)
・フンに汚染されている土壌に含まれるカビによる感染症、クリプトコックス症

鳥(ハト)の生態や習性を調べてみました

対策には、まず敵(ハト)を知る事と考え、調べてみました

飛翔能力・帰巣本能が強い

伝書鳩は、ハト仲間、カワラバトの帰巣本能を利用して、第二次世界大戦直後まで文書や写真フィルムを運ぶ通信手段等に使われ、軍用鳩とも言われたそうです
長年の品種改良により、飛翔能力と帰巣本能に優れ、過去のレースで村上市(新潟)から鹿児島市の巣まで1100Kmを24時間弱で帰還した記事がありました
日没後は木陰で休む為、それを含めても時速44km/h以上だそうです
今のような通信手段が無かった時代には有効な手段だったと思います
カワラバトが野生化したドバトはこれほどの飛翔能力や遠距離の帰巣本能は強く無いそうですが、能力の片鱗が伺えます

縄張り・仲間意識が強い

ハトは群れで行動する生物です。数羽から数十羽、百羽を超える群れをつくり、行動範囲の中で、居心地の良い場所を選び、特に気に入った場所で巣を作って繁殖します
縄張り意識が強く、一度気に入った場所や巣を作った場所をあきらめないそうです
ハトは家族や群れの仲間以外には非常に強い敵対心を示し、同種のドバトであっても、自分のテリトリー(縄張り)に入ると闘って追い払おうとします
居心地の良い場所、縄張りはフンでマーキングしているそうです

習性からのハト対策

ハトの習性をまとめると
・安全で居心地の良い場所(縄張り)としている
・縄張り意識が強く、場所を忘れない(帰巣本能が強い)
・フンは意識しないでしている
それぞれに対応した対策を調べてみました

フンをこまめに掃除する

縄張りをフンでマーキングしているので、フンをしたまませずに、こまめに掃除することが大切だそうです
フンには感染症などのリスクがあるので、掃除する際にはマスクや手袋をして、ホコリなどを吸い込まないようにします

居心地を悪くする

今の縄張りの居心地を悪くする。言葉で簡単ですが、実際は、人の都合などあり、難しいと思います
ハトが侵入できないように防鳥ネットが張れれば良いですが、人も入れなくなってしまいます
果樹園やコイを飼う池などで、透明なテグスを張ります。見えにくいもので、侵入してきたハトが当たり、不快にさせる方法であれば、人の都合とも両立できると思います
検索すると、様々なハトの忌避剤があります。どれだけ効果があるか?使っていないのでわかりませんが、一定期間、ハトが集まらないよに試してみる価値はあると思います
CDや光沢テープ等キラキラしたものをハト除けとして、吊るす方もありますが、しばらくすると慣れてしまうようです
複数の方法を使い、ハトとの根気比べが必要ですね


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電線や軒にとまらないようにする

鳥は、無意識に(所かまわず)フンをします。長く滞在するところには、フンは多くなります。庭などでも高い樹のまわりには、鳥が運んだ実生が多い(食べた実がフンに含まれる)
鳥がとまりにくくなるような、軒に取り付ける 針状の忌避具(防鳥スパイク)があります
電線などにとまる場合は、電力会社に相談すると、設置してくれるそうです。縄張り近くの電線に設置すると良いと思います

まとめとして

植木と直接関係ありませんが、鳥の害、ハトの習性や生態について調べました
ハトが巣を作った、ヒナが居ると巣を除去する場合、巣だけの除去は法律違反になりませんが、ハトやヒナ・卵を除去すると、鳥獣保護管理法の対象になることを改めて知りました
お客様からの相談に、具体的な対策はまだしていませんが、ハトの習性の件や、それに対応した対策をお伝えしました
また、お客様が片足のハトをかわいそうと思うやさしい心から、エサを与えたことがきっかけです
来社したお客様や玄関を使うお客様にフンなどの害が無いように、現在の縄張り、玄関周りの防鳥対策と、少し離れた問題にならない場所に新たな場所をつくったらどうかと提案しました
その後については、機会をつくり報告します

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