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【実績紹介】道路にはみ出したカイヅカイブキ生垣の剪定

カイヅカイブキは、昭和を代表する生垣の樹種です。当時は、コニファー等が一般的では無く、洋風な雰囲気や当時の大気汚染に耐える数少ない針葉樹として、住宅や工場、公共施設などに幅広く植えられました。枝葉が密集して、植栽直後から目隠しになり、成長も比較的遅く、放任しても形があばれにくいなどの樹の特性が、好まれたようです

一方、植えられてから数十年経過し大きくなりすぎたカイズカイブキの生垣も多く、お客様からどうしたらよいか?と相談を受けることも多いです。私は、できる限り剪定していますが、伐採の判断されるお客様も多いです。今回は実例も紹介しながら、カイズカイブキの剪定する際、注意している点などをお話します

目次

カイヅカイブキは剪定しにくい?

カイヅカイブキは定期的に剪定していればよいですが、数年放任し、大きくなりすぎた樹を小さく剪定する際に注意する点があります。手に負えなくなり、伐採されてしまう樹の多くは、知識が無く剪定してしまい、無残な形になってしまったものが多いです

1)ガイコツの樹になってしまう

カイヅカイブキは針葉樹なので、針葉樹の基本に従って剪定します
葉の出ている部分を残して切り戻さないと、その枝は枯れてしまいます(例外は、後ほど説明します)
良く剪定の知識が無く、カイヅカイブキを強剪定したものを見かけます
道路やフェンスからはみ出した部分を切ったものです
枝が枯れてしまっていて、枯れ枝が骨の様で、私は「ガイコツの樹」と呼んでいます

2)痛い先祖返りの葉が出る

カイヅカイブキの葉は鱗片状で柔らかいですが、深く刈り込むと、皮手袋をしていないと触れない様な、痛いスギ葉状の葉が発生してしまいます
このスギ葉を「先祖返り」と呼んでいます。勢力が旺盛で、一段 飛び出て樹形を乱します
これは、カイヅカイブキの鱗片状の葉の基部がスギ葉状で、その部分まで切ってしまうと、スギ葉状で伸びてしまうようです(と私は思っています)
一旦 スギ葉は、刈り込んでも他と色がかわってしまいます。その枝自体を除去するしかありませんが、ぽっかりと大きく穴が開いてしまいます

3)枯葉が沢山出る

表面だけ刈り込んでいて、枯葉を落としていないカイヅカイブキが多いです。私たちが剪定すると 膨大な枯葉が詰まっていることが多いです
この枯葉を落とすだけで、作業時間がかなりかかります
枯葉を落とさないと、樹形の内側に光が入らなくなり、中の葉が枯れてしまいます
また、三島界隈では冬は西風が強いため、家の西側にカイヅカイブキなど針葉樹を植えると、家が埃っぽくなる、ぜん息の症状が重くなると嫌う方がいます

カイヅカイブキの剪定の仕方

小さいうちは、刈込み剪定して、枯葉を落としていればよいですが、一旦大きくなってしまったものは、樹形の中に光が入るように剪定します

1)透かし剪定をする

一度大きくなってしまったものを剪定する際は、葉のある(緑の部分)を残し切り戻します。重なっている枝等不要な枝を抜き 透かし剪定します
また、葉の無い枝は元で切ります。枯葉を落とし、枯れ枝も同様に除去します

2)先祖返りの葉は元から抜きます

先祖返りの葉(スギ葉)は、そのままにしていても、元に戻ることは無いので、元から切り 除去します(かなり痛いので、皮手袋等必須です)
抜いた部分が穴が開いてしまう事がありますが、新しい葉が、その部分を塞いでくれるのを期待します

3)樹形の中の陰芽を大切にする

剪定しながらよく確認すると、樹形の中に小さな芽を見つけることができます
樹形の中に光が入るようになると隠れていた芽が伸びてくれます
緑のある部分まで切り戻すと説明しましたが、この陰芽が伸びてくれれば、さらに切り戻すことができ、樹形を小さくすることができるようになります

事例紹介:道路にはみ出したカイズカイブキの生垣

ご実家の道路にはみ出した生垣を剪定して欲しいとお客様からご依頼がありました
近所の方からも要請があったそうです
以前、植木屋さんに依頼し、ここが限度と言われたところまで、剪定したそうです

作業前

生垣は 道路に大きくはみ出していました
住宅街のカーブで、対向車が見えにくい。白線内を生垣がふさいでいるため、歩行者が車道部を歩くことになり、危険な状態でした

作業後

全体に刈り込んだ後、透かし剪定をして、中に光が入るようにして 数年かけて薄く(道路にはみ出しを小さく)なるように、との考えで剪定をはじめました
作業中、自治会の役員の方が来られ、自治会でも課題として、前役員から引継がれているとのことでした
役員の方とお客様が話されて、今回の剪定で解決することになり、方針を変更しました
車道側の下の枝を抜き、歩行者(おおむね180cmくらい)が通っても当たらないようにしました
車からの死角も減り、車の通行も改善されました
住宅の目隠しも、家側の枝や植栽で適度に隠くす事が出来ました
残った部分は、透かし剪定し、枯枝枯葉も抜き、明るい印象になりました

まとめとして

手に負えなくなり、伐採という選択肢もありますが、樹の特性を生かした剪定により、愛着のある家庭の風景を残すこともできます
参考になると幸いです

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