樹や庭の基礎知識 

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ナラ枯れ

緑の山が ところどころ茶色になっている、景色に気づかれた方も多いのではないでしょうか

ブナ科のナラ、シイ、カシなどが枯れる病気で、これは「ナラ枯れ」と呼ばれ、ナラ菌が樹体内に蔓延して枯死したものです。TVのニュースなどでも耳にしたことがあるかもしれません

庭木では、これが原因で枯れたものは顕著では無いと思いますが(後述)、薪材として使われるクヌギにも影響があり、また被害発生のしくみが興味深いのでお話したいと思います

目次

「ナラ枯れ」により枯れた クヌギを伐採しました

今年10月 熱海市の別荘地のお客様の敷地のクヌギの高木(根元の直径が40cm以上)が枯れていることに気づきました。何かのきっかけで、枝が折れて落ちたり、倒れたりすると危険ですので、緊急対応で、伐採しました

ナラ枯れに感染した木の外観からの気づき点

幹の根元近く、小さな穴が多数でき、穴から木くずが出てくることで、気づくことができるそうですが、今回は、枯れてはじめて気づきました
また、伐採してしばらくすると 伐採した木の断面が変色が明確になりました。これはナラ菌が感染したことによる変色の様です

ナラ枯れとは

wikipediaによると
「ナラ枯れの歴史は浅く被害の顕在化と本格的な研究は1980年代に入ってからである。ただし、それ以前にも時折ナラ枯れらしき枯れ方をする個体はあったという」そうです

ナラ枯れ被害の現状

平成22年をピークに減少していたが、令和2年より再び急増
令和3年度で47都道府県中42都道府県で被害が発生し、前年より被害が増加したのは
16都府県
静岡県の周辺の神奈川県、山梨県の被害が大きいようです
三島市界隈では、一昨年くらいから、被害が目立ってきたように思いましたが、まさに第2波ですね

ナラ枯れ被害の発生のしくみ

カシノナガキクイムシがブナ科のナラなどの幹に潜入する際、ナラ菌を樹の中に持ち込み感染させ、ナラ菌に感染した樹木内の細胞が壊死し、水を吸い上げられなくなり枯死してしまうそうです
ナラ菌に感染した樹木内で成長羽化した成虫が体にナラ菌を付着させ、別のナラに移動し潜入。これにより被害が拡大していきます

カシノナガキクイムシは大径木を好む傾向があるそうです
薪炭材などの需要が減り、放置され太い樹が多くなったのが、ナラ枯れの顕在化の一因と考えられているそうです

まとめとして~植木屋としての気づき

「マツ枯れ(マツ材線虫病)」は、カミキリムシがマツノザイセンチュウを、「ナラ枯れ」カシノナガキクイムシがナラ菌を運び感染を広げている、自然の巧みさ?には驚きます

今まで庭木でナラ枯れに出会ったことが無いのは、カシノナガキクイムシが大径木を好む点から、と言うのも 運が良かった?としか言えません
大径のナラが増えたという環境の変化が、病気の発生を助長しているという点は、気づきが多いです

例えば、親方(父)がレッドロビンを扱い始めた頃は、病気が少なく 扱いやすい樹と言うことで、生垣に沢山使われました
しかし、レッドロビンが増えたことで、褐斑病という病気が広まり、かなりの頻度で、葉が落ちて無残な生垣を見かけます

同じ種類のものを植えると統一感があり見栄えも良いですが、小さな庭であっても 同じ樹種ばかりではなく、多様な植栽をすること、どのお客様も流行りといっても同じ樹種を勧めないことが肝要と感じます

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